今週の風の詩
第4039号 花火の下の約束(2026.7.12)
花火の下の約束
穂積乃江(ペンネーム)
学生の頃からの仲である友人と、毎年見に行く花火大会。
「来年も来よう」
去年の約束。
また二人で、この花火大会を、同じ場所で。
そしてそれは果たされたが、次の約束はされない。
婚約した彼女は、遠方に行ってしまうから。
友人の目は、花火が映り込む隙のないくらい輝いていて、私は嬉しいのと同時に、少し寂しかった。
親友とも呼べる仲だ。絶対に幸せになってほしい。
でも。
ずっと一緒に過ごしてきた友人に、置いていかれてしまうような気がして。
私はずっとここにいるのかな?
何も変わらないまま?
喜ばしいことを目の前にする友人の横で、自分のことばかり考える自身の未熟さに腹が立つけれど。
たくさんの背中が、道を流れていく。
家族連れ、カップル、学生たち…
私たちの背中は、どう映っているんだろう。
「帰省したときはまた会おうね」
あぁ、いつもの友人だ。
環境が変わっても芯は変わらない、前向きで心の広い彼女。
不安ばかり思う自分を恥じながら、
「いつでもいいよ」
煙の残る空を、ちらと振り返った。




